ネアンデルタール人はどこから来たのか?

デュッセルドルフ

デュッセルドルフの メットマン (Mettmann)には、ネアンデールタール博物館がある。 ここはネアンデルタール人の骨が最初に発見された場所である。

ここにネアンデルタール人が存在したという事実は、150年前に、先史時代の人間の頭蓋骨がメットマンの近くのフェルトホッファー洞窟(Feldhofer Grotte)で発見されたときに明らかになった。石灰岩の採掘作業員が発見し、最初はクマの骨かと考えたが、ボン大学へと送られた。

ネアンデルタール人の存在が明らかになってから、人類は常にひとつの質問を投げかけてきた。我々のこの遠い親戚は一体誰だったのか?長い間、研究者たちは、ホモ・ネアンデルタール人が占める場所について議論してきた。ネアンデルタール人はホモサピエンスの地域集団、つまり現代人の発達の中間段階だったのだろうか?研究者たちは現在、遺伝子分析でこの謎を解こうとしている。

長い間、確かであると考えられていたのは、ネアンデルタール人と現代人は、ホモ・エレクトス(Homo erectus)を同じ祖先として持っていたということだ。 約80万年前にホモ・エレクトスから《ホモ・ハイデルベルゲンシス》(Homo heidelbergensis)へと進化し、約30万年前についに最初のネアンデルタール人へと進化したのだと。


ネアンデルタール人の化石は、ヨーロッパの多くの国と中東の80を超える場所で発掘されている。これらの先史時代の人間は、スペイン南部からウズベキスタンまで、そしてドイツ北部からイスラエルまでの広範な地域に住んでいた。

2010年5月、遺伝学者のチームは、10年間の作業の後、ネアンデルタール人の遺伝物質(ゲノム)の解読に成功し、我々のDNAの1から4パーセントがネアンデルタール人に由来することを発見した。つまり、ネアンデルタール人と現代人は、ヨーロッパと中東で一緒に生活している間、交配を行い、子孫をもうけた可能性が大きい。 現生人類は自身の中にネアンデルタール人のDNAを含んでいる。

ネアンデルタール人は、氷河期の生活条件に理想的な適応を示した。しかし、この「氷河期」という用語は、使用に注意が必要である。ネアンデルタール人が存在した25万年の間、ヨーロッパでは必ずしも極寒であったわけではなく、1万年から1万5千年続いた間氷期と呼ばれる温暖な時期もあった。その為、ネアンデルタール人は極端な気候変動に対処しなければならなかった。おそらくこれが、ネアンデルタール人が現代人と解剖学的に異なる理由の1つである。

アフリカの温暖な気候の中で発達した現生人類、ホモ・サピエンスは、原始のヨーロッパ人よりも背が高くて痩せていた。骨の分析によると、ネアンデルタール人は背が低く、ずんぐりしていて、平均して身長は160センチ程度だった一方、体重は60から80㎏でかなり重かった。ネアンデルタール人は筋肉質で、頑丈な骨格を持っていた。彼らの頭蓋骨は細長くて平らで、ネアンデルタール人の脳は平均して我々の脳よりも大きかった。

後頭部が後ろへと伸びていることは、彼らの聴力が良く、夕暮れ時に目がよく見えたことを示唆している。目の上に大きな膨らみがある平らな額、強力な顎も、ネアンデルタール人の典型である。また、彼らは非常に大きな副鼻腔を持っていたので、寒い気候にも耐性があった。冷気は肺に到達する前に加熱・加湿されていた。

ネアンデルタール人は、残忍な類人猿で、原始的だというイメージは今では古いものとなっている。ネアンデルタール人は以前考えられていたよりもはるかに文化的だった。彼らは火を起こし、マンモス、トナカイを狩る狩猟民族であった。ネアンデルタール人は、特に狩猟のために先端に石が取り付けられた槍を作った、熟練した工具製作者であった。石器のいくつかには鋭い刃があった。

彼らの生活は危険に晒されており、発見されたほぼすべての骨は怪我をしていた。イラクでは、古生物学者が、骨折をしたネアンデルタール人の遺骨を何度か発見した。この個体は左側の頭蓋骨の怪我のために片方の目が見えず、右前腕が欠けていたが、35歳から40歳くらいまで生存したと思われる。

このことは、ネアンデルタール人が社会的に組織されおり、社会的な弱者も別の個体の世話を受けて生活していたことを示唆している。イスラエルのケバラ洞窟で舌骨が発見されたことは、彼らは話すことができたことを示唆しているが、彼らが実際に話したかどうか、そしてその言語がどのように話されたかを再構築することはできていない。

また、ネアンデルタール人は彼らの死者の一部を埋葬したと思われる。墓や小規模な埋葬地は、フランスとイスラエルの間のネアンデルタール人の生息地に点在している。埋葬は必ずしも来世についての考えを示しているわけではない。また副葬品はほとんど見つかっていないが、イラクのシャニダール洞窟では、骨のすぐ近くに顕著な量の花粉が見つかったことから。花は埋葬でかなり一般的だった可能性が高い。

さらに、ネアンデルタール人はおそらく、死者の体から肉を分離し、骨を壊す習慣があった。人間の遺骨は動物の骨と同様に破壊されていることが多かった。一見、残酷な共食いのように聞こえるが、様々な科学者が異なる解釈を行っており、一部は、この慣習の背後に宗教的儀式が存在しているという説を唱えている。ほとんど肉のついていない頭部が主に処理されたという事実こそ、共食いを示すものではなく、この慣習が儀式的な埋葬の証左であるという。

ネアンデルタール人の絶滅の原因は分かっていない。クロマニョン人との衝突によって絶滅した、あるいは生物学的に衰退していったなど、様々な説がある。アフリカ人のDNAにはネアンデルタール人の遺伝子は含まれていないとされてきたが、2020年の論文では、アフリカ人のDNAにもネアンデルタール人の痕跡がわずかに残っていると発表された。この説が正しければ、地球上の全人類がネアンデルタール人のDNAを受け継いでいることになる。

参考:

planet-wissen.de, “Neandertaler”, Jennie Theiss und Andrea Wengel, 22.06.2020, https://www.planet-wissen.de/geschichte/urzeit/der_neandertaler/index.html

geo.de, “Neandertaler: Der verkannte Mensch”, Martin Meister, https://www.geo.de/magazine/geo-epoche/10770-rtkl-neandertaler-der-verkannte-mensch

br.de, “Dem modernen Menschen ebenbürtig”, 19.02.2021, https://www.br.de/wissen/neandertaler-homo-sapiens-urmensch-kindheit-100.html

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